管理会計のさみしさ その①

管理会計。これを知っているビジネスパーソンは、それほど多くないと感じている。それは、コンサルタントとしてクライアント企業に入ってあれこれやっていると、実感する。

もちろん、管理会計を相当高いレベルで運用できている企業もある。

ある資料では、日本企業の中での管理会計の導入は、20%にも満たないらしい。さらに、これは筆者が感じているものとしては、たとえ管理会計を導入していても、そのレベルは高くない。つまり、日本企業の80%が管理会計を導入していないとしても、導入している20%の中を見てみると、相当の割合で、高いレベルで機能できていない管理会計があるのだと感じられる。

では、管理会計がしっかりと機能すると、何が良いのか?

そもそも管理会計は、ほぼ全ての場合で、財務会計と高い親和性が保たれている。そのような構造で管理会計を構築する。もし、財務会計と管理会計の親和性が低い、つまり、財務会計とは全く異なる考え方で管理会計を構築したとすると、それは、財務会計とのつながりのよくわからない管理会計でしかなくなる。

企業は、財務会計を運用してステークホルダーへ種々の説明をする責任がある。それは必須の仕事だ。であるので、財務会計のための業務は必ず存在する。もし、管理会計のための業務が財務会計とは異なる業務となるのであれば、それは企業にとって余計な業務が増えることにつながる。それでは経営の効率化から遠のいてしまう。そして、管理会計での見え方と、財務会計での見え方が異なるのであれば、事業の未来のために何をどのようにすべきかの説明が、財務会計とつながった状態でできないことになる。

管理会計は経営のための適切な情報を提供するために存在する。管理会計によって見えた種々のものを、未来に生かすために、戦略・戦術の最適化につかう。戦略・戦術の最適化に使用するための管理会計は、その目的だけで考えると財務会計との親和性は不要となる。しかし、上述したように、財務会計との親和性を保った状態で、戦略・戦術の最適化のための情報をつくることが重要となる。

数年前に支援した製造業でも、管理会計は導入されていたが、そのレベルは低かった。たとえば、限界利益で事業をハンドリングするが、固定費の実態がわからないため、さまざまな固定費が事業に悪影響を及ぼしているにも関わらず、その改善改革に着手することが難しい状態であった。マーケットは成熟期であり、中国などのサプライヤーのチカラが強くなり、競合も増え、プロダクトも大きな進化がみられていない状態で、より効率的な事業運営が求められているにも関わらず、固定費の実態がわからないので効果的な施策が打てないのである。

重箱の隅をつつくのではなく、見えていない垂れ流しを止めることは大切だ。それを知るためにも管理会計でメッシュの細かい利益、たとえば固定費の配賦メッシュのある程度細かい状態での製品別の利益や顧客別の利益がわかる状態であることが望ましい。

しかし、実態は、管理会計の構築がされていない状態であったり、管理会計といってもそれほど高くない管理会計レベルである。

では、なぜ、管理会計の構築や高度化が進まないのか。

それは・・・。