組織開発の難しさと複雑系③
では、複雑系を理解し、複雑系の問題解決をするためには、何が重要なのか。
一つは、複雑系であることを認識し、複雑系そのものを理解すること。複雑系は要素と要素の相互作用により変化するものであるので、事象の連関図で見える化することなども効果的だ。その見える化された事象の連関図をベースとして、さまざまな仮説を入れ込んで連関図を成長させる。その成長した連関図を理解することで変化する複雑系でも理解しやすくなる。複雑系は時間軸で変化し続ける。なので一度見える化できたチャートでも、時間によって別の状態になっている複雑系を表すことができない。であるので、連関図を成長させることが必須なのだ。
そして二つ目に重要なのは、原因追及にこだわらないこと。単純系である品質不良や設備不良の対策としては原因追及にこだわることがとても重要だ。原因を追究していない状態で対応するのは対処療法であり再発のリスクが高いからだ。しかし複雑系では原因を追究するよりも、複雑系の特徴でもある因果の相互作用を理解し、そこから未来の別の状態を描くことが重要だ。
そして三つ目は、「では、こうする」を決めることだ。今の状態を複雑系として全体的に捉え、要因の相互作用、因果の相互作用を部分的かつ全体的に理解し、なぜこのような複雑系になっているのか、未来にどのような複雑系になるかもしれないのかを仮説する。そして、もう過去に必要以上に拘ることを止めて、未来をみて「では、こうする」と、人の意志で決めるのだ。
複雑系は時間で変化する。単純系のように原因追及できたとしても、その原因は、他の系の結果に影響を受けて存在していることもある。であるので、どこかで原因追及を切り上げることが複雑系では重要となる。そして、「では、こうする」と決めるのだ。その決断の前には、もしかすると多くの選択肢はないのかもしれない。しかし、その考えられる選択肢を絞り込み、進むべき道を決める。そして、意志をもって決めたこと実行に移すための、人と組織による約束をすることだ。
その際、気を付けなければならないのは、複雑系とその理解、そして意思決定までがブラックボックスに成りがちなのである。
単純系は因果関係を見える化し、問題点から課題を整理して解決策をつくり選ぶことで、かなりの部分はホワイトボックスとして残せる。
しかし、複雑系は、複雑系そのものの見える化や、それでも表現しきれない人の意志、時間変化による相互作用の変化など、表現物として見える化するものが多くあり、さらに一度表現したものが時間経過で修正しなければならなくなる場合も多い。そのため、そのプロセスに関わっていない人には、決断した結果は見えるが、そのプロセスや決断への意志が、理解しにくいものになりがちなのである。