チームと協働と共鳴とリーダーシップ

協働することは、この社会ではとても重要だ。

たとえば、その協働という要素を強化することが重要な場面となるPMI : Post Merger Integration をイメージしてみる。
まず、PMI の進め方は種々あるが、経営レベル( 経営理念、経営戦略、マネジメント) 、業務レベル( 業務、I T システム、人材・組織など) 、意識レベル( 企業文化・風土) の3 段階で表現されることが多い。
PMI を進めるうえで最も重要で難しいのが「人」と言われる。これは、経営理念や戦略、ビジネスプロセスやI T システム、組織構造などは、最適設計し導入することで概ね想定したパフォーマンスを発揮できる「サイエンス」によって多く語られる領域だが、人はその意識・行動とその集合体である文化・風土という「アート」で語られる領域が大きく、その変革に長い時間を要するからとも言える。
そして、人組織は、個々人の考えや意識が相互作用し時間によって様々に変化する複雑系であることから、その複雑系を捉えること自体が難し、それによって変革プロセス設計が難しくもなる。さらに、たとえ実態を適切に反映して変革プロセスを設計できたとしても、変革そのものが難しい。
特にPMI では、合併前・統合前の別々の事業や別々業務を統合した後には、これまでにない異文化同志での様々な協働が必須とされることが殆どとなるが、「協働のレベル」が一定以上に高まらずに期待したパフォーマンスが出ないことが多い。

この「協働のレベル」を大きく以下の3 レベルに分類して考えてみる。

相互理解レベル: 人と人とが共通の考え方やルール( 形式知) などを理解し、行動を統制しているレベル。協働する上で最低限必要なレベルと考える。

共感レベル: 相互理解レベルより高いパフォーマンスを出しやすい。人と人が相互理解だけではなく、互いの似たような身体知( 暗黙知) を所有し、コミュニケーションにより相互の感覚が同じ・似ていると感じ取り、それらを組織知( 形式知) として保有し行動できているレベル。

共鳴レベル: 共感レベルより高いパフォーマンスを出しやすい。共感レベルに加えて人を巻き込み熱い思いをもってリーダーシップを発揮する単・複数のリーダーによって活性化されたレベル。

この、共鳴レベルの協働をつくることは簡単ではないが、不可能ではない。2 0 2 3 年のWo r l d B a s e a l l C l a s s i c の侍ジャパンはどうだろうか? 個々人が素晴らしいほどのチカラをもったプロ中のプロであり、優勝という目標に向かって練習を重ね呼吸を合わせ、強く共感できる仲間であった状態で、そこに「憧れるのはやめましょう」と鼓舞した大谷翔平のリーダーシップによって一気に活性が上がり共鳴し合った、歴史に残る、強い記憶に残るナラティブをつくった、あのチームは、共鳴レベルの協働ができたチームと言えるのではないだろうか。